栄養療法とは、栄養不良などにより本来の病状の回復や免疫機能の回復に悪影響が出ないように、栄養面から患者をサポートし治療を行うことです。

罹患時は、免疫能力や身体機能が低下していることが多く、合併症を引き起こす恐れもあります。適切な栄養療法を行うことによって、回復が早くなったり、合併症を予防できたりした事例もたくさんあります。また、病気やけがで手術や入院をする患者だけでなく、栄養とは関係のないように思える、頭痛やうつなどの精神的な症状にも効果をもたらす場合があるのです。

たとえば、火傷を負ってしまった方が手術を行うために入院する場合、最も懸念されるのが感染症のリスクです。

もちろん抗生剤の投与などの処置は行われますが、栄養状態を検査し、必要な栄養素を補うことでリスクが軽減されます。さらに、手術によって免疫力が低下すると体に大きな負担がかかるため、栄養状態を事前に改善することによって手術後の二次感染などが予防できるのです。手術後は、傷を治すための機能回復が早まるため、早期に退院できる傾向があります。

また、うつの症状などで適切な薬を飲んで改善が見られた場合でも、なんとなく体の不調を感じることが続いたり、再発してしまうといった方は多いです。これらの症状は、栄養面とは関係がないように感じますが、栄養療法を取り入れ、適切な栄養面の検査を行い、サプリメントなどを利用して栄養を補うことで健康な生活が送れるようになった事例もあります。

これらの事例のように、身体や精神の疾患において、栄養療法を適切に行うことで回復がみられることが分かっています。近年では、がん治療の分野でも注目されはじめており、栄養療法の専門知識を身につけたNST専門療法士の需要も高まりつつあるようです。